『ねこたち町』
『ねこたち町』
わしおとしこ・文 藤本四郎・絵 アリス館 2001/7/10
アイスクリームを売る猫、楽器を弾く猫、ペンキで看板を描く猫、車椅子の猫。
カラフルで個性的な猫たちでいっぱいの、にぎやかな表紙。
それは、ねこたち町の様子。
ねこたち町には、ねこと、ひとねこがいる。
「ひとねこ」は、ねこに選ばれた人だけがなれるねこなのだ。
お祭りの日には、ねこと、ひとねこで、ねこたち町はにぎやかになる。
小学生のミコは、生まれたときから白ねこのスズと一緒に暮らしている。
そして、スズに選ばれ、お祭りの日にねこになって、ねこたち町を訪れる。
ミコは、ねこたち町で、同じクラスの小林くんに出会う。
小林君はクラスではおとなしくて、話したこともないけれど、
ねこたち町で、ねこの姿の二人は、気軽にいろいろなことを話し合える。
ねこたち町での、ミコの出会いや発見が描かれていて、
それは、ちょっと悲しかったり、ちょっとすごかったり。
それぞれが、小さな冒険のよう。
この本は、2002年度の小学校中学年向け課題図書だった。
メッセージが直球過ぎる気もするけれど、
そのわかりやすさゆえに課題図書に選ばれたのかもしれない。
そして、読者が受け取るメッセージは多分一つではなく、
読んだ人それぞれに違うことが心に残るのではなかろうか。
子供たちの心に、何がどのように残ったのか、感想文を読んでみたい気がする。
私がこの本から感じた大きなテーマは、愛と命。
壮大であるがゆえに、小学生向けの切り口に感心した。
3~4年生対象の課題図書だけれど、1~2年生でも読めるのではないかな。
シンプルであたたかいストーリーと、多くのカラー挿絵のあるこの本は、
絵本を卒業した子供たちの、物語本への入り口としてお勧めの一冊。
元課題図書だから、多分、お近くの図書館にありますよ^^
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