『おばけ道、ただいま工事中!?』
草野あきこ・作 平澤朋子・絵 岩崎書店 2015/8/25
自分の部屋が、ある日突然、おばけの通り道になってしまった!
小学四年生の翔太がおばけとかかわることで起こる不思議な騒動が、明るく軽快に描かれている。
死者とはもう話せないから、
「あの人は、あの時、どう思っていたのだろう。」
身近な誰かが亡くなった時に、そんなことを考えたりするのではなかろうか。
また、伝えたいことがあったのに伝えられないまま、大切な人を亡くしてしまうこともある。そんな時、その気持ちや後悔の念をどうしたらいいのだろう…。
作者がこの物語の中で示してくれる見解は、シンプルであたたかく、私は心から共感した。
一つ一つの出来事から大きな結末へと向かう物語の展開は、構成や小道具の使い方の巧妙さもあり、パズルのピースを一つずつはめていき最後に絵が完成するような味わいだ。
純粋なエンタテイメント小説として、少年とおばけとの交流の物語を大いに楽しむことができる。
しかし、もし、身近な人を亡くして、その受け止め方に戸惑っているお子さんが読んだなら、エンタテイメントよりもう少し奥深いところで、心に響くものがあるだろう。
そして、もし、同じように戸惑っている大人の方が読んでも、きっと。
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