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in a Million

児童文学紹介ブログです。児童文学もアイドルも成長を見守るのが楽しい。

『ハンカチの上の花畑』

安房直子・作 岩淵慶造・絵 あかね書房 初版1973/2

 

前回からの続きにもなるが、安房直子さんの短編集を感動しながら読み終えて、著者紹介の欄を見たとき、このタイトルを見つけた。

「小学生の頃、ものすごい感動した本だ!安房さんの本だったんだ!」

で、速攻で読了。

冷や汗、たら~。

ってほどでもないけれど、予想外の展開にしてやられた感じ。

特別な本だという印象だけで、ストーリーは全然覚えていなかった。

『ハンカチの上の花畑』というタイトルから、メルヘンチックな心あたたまる話だったのだろうと何となく思っていたのだが、読み始めたら、全然違っていた。

安房直子ワールド全開である。

ある日突然巻き込まれる非日常の乾いた怖さ。

薄い善良さと可愛らしさで包んだ、秘密と裏切りと報いの物語。

なんとまぁ、素晴らしい語り手でしょう。安房直子さん。

 

この物語には子供も動物も出てこなくて、大人たちが主人公だ。

大人たちの秘密と裏切りと報いが、小人さんという可愛い存在を通して、にこやかに語られる。

子供のワタシは、もしかしたら、見てはいけないものを見てしまったように感じたのかもしれない。物語の記憶はきれいさっぱり消えて、強烈な印象だけが残されているのは、衝撃が大きかったからなのかも。

人間誰しもが持っているであろう光の面と闇の面は、分けられるものではなく、繋がっていて一体なのだと示してくれるこの本を、価値有る本として心の中に残しておいた子供の自分を褒めたい。

子供ながらも、毒っぽさに魅力を感じていたんだね。と。

 

ところで、70年代の本には作者の現住所が普通に明記されていることに、驚いた。

そして、70年代に書かれた本が今も現役で図書館の開架書架に並んでいることにも、びっくり。

名作が21世紀の子供達にも読み継がれていることを、嬉しく思う。