『放課後の音符』
『放課後の音符(キイノート)』
表紙画像をあげておいてなんですが、これは私が持っている本ではないんです。
アマゾンのリンク作成がこれしかないだけで。
こっちの方が私のこの本のイメージです。この表紙の本、今も持ってる。
さて。
最初にこの本が出版されたのは1989年。
携帯電話とかスマホでSNSとか、そんなものがなかった時代のこと。
そんな小道具が全く出てこない恋愛小説、いかがですか?
携帯電話もメールも出てくる女子高校生の恋愛小説を、最近、読んだ。
恋の基本は変わらないなぁと感じた。
誰かを好きになって結ばれる、人と人の心と体の作用だものね。
時代によって、舞台や小道具が違うだけ。
だから『放課後の音符』は、新たな古典と言っていいような気がするのだ。
主人公は女子高校生。もう子供ではなく、かといって、まだ大人でもない。
主人公の恋を中心に、周りの女の子たちの恋の話が短編小説として綴られている。
大人から見ると悪い子の恋もあれば、十代ならではの手探りの恋もある。
高校時代ってそんなこともあるよねっていう恋もあるし、
あっけらかんとした女の子の熱情や、静かにほとばしる秘密の恋もある。
どの女の子も、個性がきらきらと輝いて、その恋はみずみずしい果実のよう。
詠美さんの小説の素敵なところは、登場人物たちが自分自身を持っているところ。
恋にうつつを抜かしているように見えるけれど、しっかりと自分の価値観を持って堂々と生きている。
多分、リアルなこの年齢の女の子たちは、こんなに強くはないと思う。
だから、小説を読んで、へーっ!って思って欲しいのだ。
こんな風に、しっかり自分を持って恋したら、きっと素敵な恋ができる。
男の子に振り回されず、振り回しちゃうぐらいでいいんだよ。
そのためには、自分の軸を見つけておくといい。
詠美さんの小説は、きっと、その助けになる。
久しぶりにこの本を読んだら、高校生に戻って恋してみたくなっちゃった。
特に島の男の子との夏の恋の話は、最高。
贅沢美味な珠玉の恋愛短編集、どうぞお試しあれ。