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児童文学紹介と日記のブログ。

『くすのきだんちは10かいだて』他くすのきだんちシリーズ

 

『くすのきだんちは10かいだて』 『くすのきだんちへおひっこし』

武鹿悦子 作 末崎茂樹 絵 ひかりのくに 2007/2   2008/6

 

みんな大好きな『ぐりとぐら』シリーズの絵本が発行されて、今年で50年です。

新しいような気がする『14ひき』シリーズでも30年。

 

この『くすのきだんち』シリーズの第一作目は、2007年に発行されました。

一般図書なら十年前はずいぶん昔ですが、子供の絵本は良いものが長く受け継がれていきますね。

このシリーズは、安心して子供たちに読ませられる絵本です。

ぐりとぐら』をもう知っているお子さん達へのプレゼントとしても最適かも。

 

10階建ての「くすのきだんち」の管理人は、もぐらのもぐ

住人は、音楽家のきつねや大工のさる、看護士のうさぎなど、いろいろな動物達。

りすのレストランもあります。

みんなで助け合いながら、穏やかに暮らしています。

 

この絵本、お話ものどかだし、絵の色調もナチュラル系。

それなのに、なんだか迫力があるのです。

大きな楠の季節ごとの細かい描写、動物達の豊かな表情、それに、絵本を開いた時にハッとするようなアングルの絵もあるからかな。

 

作者の武鹿悦子さんは、「きらきら星」の作詞もされている詩人でもあります。

短いお話の中にも緩急があり、言葉がリズミカルで生き生きしています。

繰り返しや言葉のリズムは子供達が大好きなものです。

言葉の響きがきれいなので、読んであげる人もきっと楽しいでしょう。

 

一作目が『くすのきだんちは10かいだて』

二作目が『くすのきだんちへおひっこし』。春、空き室があったくすのきだんちに、新しい住人が引っ越してくるお話です。

この二冊を読めば、登場人物全員がよくわかります。

 

シリーズは現在全7冊発行されており、それぞれの季節の絵本があります。

『くすのきだんちはゆきのなか』

 武鹿悦子 作 末崎茂樹 絵 ひかりのくに 2010/10

 雪景色の絵が素敵。寒い日は、みんなが誰かを思って何かをしてあげるのです。

住人たちのあたたかい心の交流のお話。

 

私が一番好きなのは、なつやすみの本です。

『くすのきだんちのなつやすみ』

  武鹿悦子 作 末崎茂樹 絵 ひかりのくに 2013/7

夏の日、住民はそれぞれどこかへ泊まりに出かけ、くすのきだんちには管理人もぐがただ一人残されます。

困った訪問者、一人きりで過ごす夜。管理人もぐの夏の小さな事件の本です。

 

そしてこちらは秋のお話二冊。

 

『 くすのきだんちのコンサート』  『くすのきだんちのあきまつり』

武鹿悦子 作 末崎茂樹 絵 ひかりのくに 2011/10   2015/9

『くすのきだんちのコンサート』は嵐の夜の出来事。

嵐で飛べなくなった渡り鳥がくすのきだんちへ雨宿りにやってきます。

雨がやむまでの、みんなの交流のお話。

 

『くすのきだんちのあきまつり』

くすのきだんちのみんながあきまつりを楽しむお話。

お祭りからの帰り道は、ちょっとさびしい夕焼けの道。

みんなが部屋に帰りつくと、一つまた一つ、窓に灯りがともります。

 

こちらは最新刊です。(2017年11月現在)

『くすのきだんちのあめのひ』

武鹿悦子 作 末崎茂樹 絵 ひかりのくに 2017/4

 

雨が降り続く梅雨時のお話。

雨の日、かえるは「うえーい!」と喜んで、いいお天気だからとピクニックに出かけます。他の住人は、自室で歌ったり、本を読んだり、何かを作ったり。

雨の日のいろいろな楽しい過ごし方。 

 

登場人物が多い絵本なので、まずは最初の2冊を読むと、個性などよくわかって、お話をしっかり楽しめると思います。

その後、季節ごとに読んだり、揃えたりするとよいのではないでしょうか。