『妖精ピリリとの三日間』
妖精ピリリとの三日間
西美音・著 山口みねやす・絵 岩崎書店 2009/10/30
第26回福島正実記念SF童話賞大賞受賞作品
虫が好きなサヤコは、キラキラ光る大きなセミを見つけて、連れて帰る。
サヤコはそのセミに、ピリリ、と名づける。
ピリリは、他の人にはセミではなく可愛い妖精の女の子に見えるらしい。
ピリリの他にもあちこちで妖精がみつかり、テレビ局は取材に来るし、
みんなが捕獲しようとして、大騒動。
人は見た目で惑わされるの?というブラックユーモアのようで面白い。
サヤコだけにセミに見える不思議は、物語の鍵。
人には生まれながらに、天命あるいは使命のような役割があり、
誰も誰かの代わりにはなれない、というメッセージも感じられる。
次の世代のために自分が本に書く、という主人公の言葉がとても好き。
シンプルでドタバタの展開が楽しく、情景が見えるような描写もよい。
科学、歴史、文学、いろいろな味付けのハーモニーが魅力的。
感受性の豊かなお子さんは、物語の奥行きをじっくり楽しめると思う。
暑い夏休みにおすすめの本です。
キラキラのうるさいセミ、探したくなるかも。