『ルイジアナの青い空』
ルイジアナの青い空
キンバリー・ウィリス・ホルトKimberly Willis Holt 河野万里子 訳 白水社 2007/09
この本に☆をつけるとしたら、私なら5つ、満点です。
これは、今年(2017年)アメリカで映像化されたもののタイトルの部分です。
夕暮れののどかな平原に立つ大きな木からは、ブランコがさがっています。
アメリカ的な素敵な何かを感じて、私は、これだけでわくわくしちゃいます。
この作品は、2001年と2017年に映像化されており、人気の高さがうかがえます。
主人公は、12歳の「タイガー」という変わった名前を持つ女の子。
1957年、エルビス・プレスリーやオードリー・ヘップバーンが人気だった頃のお話です。(日本映画の「オールウェイズ 三丁目の夕日」と同時代)
ルイジアナの片田舎の町で、タイガーの家族は質素に暮らしています。
都会に住む叔母が注文した最新型テレビが届くところから、お話は始まります。
タイガーは、成績がよく、野球の上手な女の子。
12歳という頃は、外の世界と自分との違いのようなものに不意に気がつくことがありますね。家族の中で、それまでは当たり前と思っていたことが、他の人から見たら、全然当たり前じゃなかったりすることに気づいて、その差を調整するためにどうしたらいいのだろうと少し悩んだりするものです。タイガーも同じです。
ある日、日常をひっくり返す出来事が起こりますが、タイガーは、勇気と誠実さを持って、一歩一歩前へと進み、しっかりと生きていこうとします。
タイガーの祖母と叔母の確執や、幼馴染の男の子への微妙な感情、黒人女性との関わり、クラスメイトの女の子達との関係の変化、知的障害を持つ両親のまっすぐな深い愛情など、見所は沢山。
光あり影あり、厚みも奥行きもあり。物語の流れに乗って、楽しんでください。
この本には挿絵がなく、表紙の絵から想像するだけでした。
映像化されていることを知ったのは、訳者あとがきを読んだ時です。
速攻でYouTubeで探したら、あったんですよ!まったく便利な世の中です。
My Louisiana Sky Full Movie(2001年)
日本では未放映で、字幕はないですが、原作に忠実に映像化されているので、本を読んだ直後なら、英語なんてわからなくても大丈夫なんです。
今、本で読んだことが、目の前で映像で再現されているだけですからね。
この映像は楽しかったですよー!
そして、こちらは2017年版のようです。
この記事を書こうとして検索して見つけたんです。超ラッキー!
未見なので、あとでゆっくり楽しみたいと思います。
『ルイジアナの青い空』は、キンバリー・ウィリス・ホルトさんのデビュー作で、1998年ボストングローブ・ホーンブック賞を受賞しています。
同じルイジアナが舞台の『ローズの小さな図書館』もホルト氏の作品。
ルイジアナ州の地図。
赤い部分がルイジアナ州です。
元フランス領だったのでフランス系文化が見られる土地です。
アメリカ料理の中でも、ケイジャン料理は美味しいらしいですね。
行ってみたいな。
この物語のラストの二頁が大好きです。
ラストなので引用はしませんが、発芽したての緑のような、力強くしなやかに輝くタイガーがとても好きです。
心から全力でお薦めしたい一冊。