『にじとそらのつくりかた』
にじとそらのつくりかた
かとうじゅんこ 作 広瀬弦 絵 理論社 1999/3
主人公は、「小さな女の子」。
ぶつかった鏡を通り抜けた先は、見たことのない野原だった!たんぽぽの咲く野原では、鬼たちが酒盛りの真っ最中。元の世界に帰る方法を探すために、女の子は、勇気を出して、怖そうな鬼たちに話しかけます。
後から男の子も仲間に加わり、黒い服の怪しい男女も登場し、小さな女の子は鬼たちの世界の空の危機に立ち向かいます。
別世界での、女の子のほのぼのした冒険物語。
空や虹の作り方が面白く、その展開は、子供たちがわくわく楽しめそう。
この小さな女の子、いつも一生懸命に考えるし、これがダメならあれ、と諦めないし、工夫をしながらどんどん行動を起こします。
頭が切れて、気も強いのだけれど、鬼たちへの思いやりもあります。
悪い子だと言われても、脅しに屈せず、自分が正しいと思うように決断します。
大事な決断をするときに、人任せにせず、自分を信じようとします。
女の子が主人公のいろいろな児童書を読んできましたが、こんなに聡明かつ嫌味のない女の子は初めてだわ、と感激したので、作者のかとうじゅんこさんについて調べました。
かとうじゅんこ氏=加藤淳子氏は1961年生まれ。
東大のHPまで見に行ってしまいました。
http://www.j.u-tokyo.ac.jp/about/kyoin/profile/kato_j.html
きっと、加藤氏は小さい頃、この本の主人公みたいだったんじゃないかなぁ。
以下、加藤氏の著作、ウィキペディアからの引用です。
加藤淳子 - Wikipedia
単著
The Problem of Bureaucratic Rationality: Tax Politics in Japan. (Princeton University Press, 1994)
『税制改革と官僚制』(東京大学出版会 1997年)
にじとそらのつくりかた(かとうじゅんこ)理論社 1999.3 (おはなしランドくじらの部屋)
Regressive Taxation and the Welfare State: Path Dependence and Policy Diffusion. (Cambridge University Press, 2003)
月の剣の物語 抜けなくなった剣(かとうじゅんこ)理論社 2009.9 (おはなしルネッサンス)
共著
(川人貞史・吉野孝・平野浩)『現代の政党と選挙』(有斐閣, 2001年 新版 2011年)
(加藤淳子・境家史郎・山本健太郎 編) 『政治学の方法』(有斐閣, 2014年)
以上
凄いですね。素敵ですね。
著作のうち児童書二冊を拝読しただけですが、すっかりファンです。
本業がお忙しそうだけど、いつかまた児童書が出る日を楽しみにしています。
加藤淳子氏HP
http://www.katoj.j.u-tokyo.ac.jp/
さて、『にじとそらのつくりかた』ですが、最後に、小さな女の子の現実世界と鬼たちの世界とのリンクが描かれていて、それがまた素敵なのです。
あの子はじつは・・・とか、想像を楽しむ余地があります。
小学校低学年の女の子たちに、ぜひ読んでほしい本です。
きっと女の子たちの力になることでしょう。