『月は、ぼくの友だち』
月は、ぼくの友だち
ナタリー・バビット 作 こだまともこ 訳 評論社 2016/6/30
主人公ジョー・カジミールは、月を見るのが大好きな12歳の少年。
科学者になる夢を持っているけれど、まだ誰にも話したことがない。
夏休みに訪ねたおばさんの住む街で、億万長者の跡継ぎになる話が降って湧く。
億万長者の養子になることは、将来、会社の経営者になるということだ。
科学者の夢は諦めなければならない。
さあ、どうする?というお話。
1960年代のアメリカのお話である上、ゆるくて遅くてストーリーがシンプルなので、なかなか読み進まないかもしれません。
とりあえず32ページまでがんばってみて。ジョーがときめく女の子が出てきます。
十代前半で自分の将来について考えたり、周囲との折り合いのつけ方がわからなくて悩んだり、そういうのは万国共通なのでしょうね。
進路をどう決めるのか、何を優先し、どう生きるのか、がテーマかもしれません。
現実的には、お話のように単純に結果が見えるわけではないでしょうが、夢に向かって進むことにためらいを感じる子供たちを応援してくれる本かも。
私が12歳だったとして、迷わず夢を捨てて億万長者の養子の道を選びますが。
そういう人にはそれなりの報いがあるんですねー。
努力しましょうっていうお話でもあるのかな。
読み終わって、心が本の外へ、自分の現実へと向かっていく感じ。
おもしろいかといえば、おもしろくはないです。単調です。
でも、ゆるやかな文章の流れから見える光景は、家族愛があたたかく、のどかな町の人たちはアメリカ的人情味に溢れています。
ナタリー・バビット氏はアメリカの代表的な児童文学作家。
1932年7月28日生ー2016年10月31日没